お客様事例紹介

ファーム翔 上岡 昇平様〈産業用マルチローターMG-1〉

ファーム翔
代表

上岡 昇平様

  • 地域 : 兵庫県南あわじ市
  • 掲載年 : 2022年
  • 作物・作業 : 稲(約10ha)/稲WCS(約30ha)/たまねぎ(約1ha)

ドローン活用で農業をさらに楽しく、効率的に。県下随一の農業地帯を次世代へとつなぐ

兵庫県最大の農業地帯である淡路島で、2013年から水稲栽培と稲WCS※づくり、農作業受託、酪農など幅広い事業を手掛けるファーム翔。移住を機に淡路島で独立就農を果たし、耕畜連携の再構築や地域農業の支援に注力。ドローンを導入してさらなる飛躍を目指される代表の上岡さんに、農業ビジネスへのチャレンジについてうかがった。
※稲ホールクロップサイレージ=稲発酵粗飼料。飼料用米の穂を茎葉ごと刈取り、ラッピングして乳酸発酵させた牛の飼料

耕畜連携農業サイクルを取り戻すため、稲WCSづくりに着手

上岡さんは淡路島から瀬戸内海を隔てた姫路市夢前町の出身だ。農業大学校を卒業後に地元の農業法人に就職。そこで土地利用型農業や6次産業化のノウハウを学ばれ、2013年の結婚を機に奥様の実家がある淡路島の南あわじ市へ移住し、独立就農をされることになった。水稲栽培と同時に義父が所有する増田牧場の手伝いもはじめられた上岡さんは、当時高騰していた乳牛の飼料代の負担を減らす方法として稲WCSに着目された。

淡路島南部では伝統的に堆肥は農産物の肥料に、稲わらなどは乳牛の飼料に使う耕畜連携が行われていたが、野菜栽培への専業化が進んだことでこのサイクルが崩れつつあった。上岡さんは地域に再び耕畜連携を構築するために2014年から稲WCSづくりを開始。同時に野菜栽培前のほ場を有効活用できる方法として周辺の露地野菜農家にも稲WCS栽培を積極的にPRし、請負事業も開始された。

稲WCSの成功を皮切りに地域農家への「援農」事業を拡大

初年度は自分のほ場から稲WCSづくりをスタート。稲WCSは、食用米栽培の技術や機械がほとんど応用できる。また収穫時期が食用米より約一ヵ月早いため、その分、収穫後のほ場で行う野菜の栽培を早く始めることも可能だ。さらにWCS用の稲は国の経営所得安定対策の戦略作物として産地交付金の対象にもなっており、収入増にもつながる。

こうしたメリットが地域の露地野菜農家に伝わった2年目からは、多くの作付けを請け負うように。
ファーム翔を立ち上げて2021年度まで稲WCSの作付面積を10倍にまで拡大してこられた。また、年間1,000ロール分にもなる収量のほとんどは増田牧場向けに供給。稲WCSは栄養価が高いことから生乳出荷量が50%も増加するというメリットを得られた。その後も田植えや代かき、畑のうね立て、たまねぎの収穫など、作業受託を積極的に拡大。そんな上岡さんの大きな力になったのが農薬散布用ドローンMG-1である。

防除、追肥作業の効率化のため農薬散布用ドローンMG-1を導入

水稲作付面積の拡大、農作業受託の増加にともなって、上岡さんがMG-1を導入されたのは2021年のこと。先に導入した知人から紹介され、実演を実施。「こんなにラクに、楽しく防除ができることに驚きました」と当時を振り返られ、実演後すぐに購入を決められたという。それまで使用していたラジコン動力噴霧機は長いホースを引っ張る必要があり、また筒先をもつ作業者に農薬が飛散するリスクもあった。ブームスプレイヤーも使用されていたが、こちらは点在するほ場の移動に時間がかかる。

「ドローンを使えば重たいホースをもって動き回ることがないし、農薬がかかったり、重たいタンクをかついで転倒する心配もない。また移動も軽トラックに積み込むだけなので、作業効率が比較にならないぐらい上がりました」と語られた。それまで夏場の防除作業は1日につき約2haが限界だったが、MG-1の導入後は倍の面積が作業可能になった。動力噴霧機に比べて準備の手間が少ないため、カメムシの発生など緊急の依頼にもすぐに対応でき、受託先の農家からも好評だ。水稲の防除と追肥から活用しはじめ、効果を実感されるとたまねぎの防除や牧草の追肥と、用途を段階的に拡大されている。

自作農や作業受託で水稲の防除作業にドローンを活用。そのほか、試験的にたまねぎの防除作業や牧草の追肥作業にも使用されている。
自作農や作業受託で水稲の防除作業にドローンを活用。そのほか、試験的にたまねぎの防除作業や牧草の追肥作業にも使用されている。

ヤンマースカイスクールで操縦に必要な資格を無理なく取得

ドローンの操縦に必要なオペレータ技能検定は、ヤンマーのスカイスクールで取得された。「ヤンマーのスカイスクールは3名以上の受講者がいれば地元まで講師を派遣してくれるので、何かと時間のない私にはとても助かりました」と上岡さん。指導もわかりやすかったようで、ともに受講された77歳の方もスムーズに操縦を覚えられたという。またMG-1には障害物を認識し、回避するレーダーが搭載されていることから、安全面も高く評価。さらに補助金を使って産業用ヘリコプターより格段に安く導入できた点にも満足されている。

「私は仕事をしているというより遊んでいる感覚に近いかもしれません。作業準備をしていると子どもたちが目を輝かせて近寄ってくるのもうれしいですね」と目を細める上岡さん。ドローンをはじめとする最先端のスマート農業技術には、作業効率だけでなく「農業=かっこいい」というイメージアップにつながる可能性も感じられている。MG-1以外にはトラクターのGNSS自動操舵システムも導入。「スマート農業の技術革新はこの数年で一気に進みました。事業規模に合わせながら、新技術を取り入れていきたい」と、さらなるICT化を視野に入れておられる。

ドローンは慣れるとスムーズに操縦でき、スカイスクールの指導もわかりやすかったと好評。
ドローンは慣れるとスムーズに操縦でき、スカイスクールの指導もわかりやすかったと好評。

次なるステージは法人化と人材育成農業を魅力ある職業に

移住から10年にも満たないが、上岡さんは南あわじ市の農家の間ですっかり名の知れた存在となられた。当初は地域に3名しかいなかった若手農家も「やり方次第で農業にはすごい可能性がある」と断言する上岡さんの存在からか、現在は8名まで増加。稲WCSや耕畜連携に向けた活動もともにしている。そんな上岡さんの次なる目標は法人化である。「農業の将来を考えたとき、農業がひとつの産業、職業として認知されることが大切です。

そのためにもファーム翔を法人化してスタッフを雇用し、次世代の担い手を育成したい」と次のステージを見据えておられる。県下最大の農業地帯である淡路島も、高齢化の影響により、生産量は徐々に低下している。将来は耕作放棄地が増えることも予想されているが「そのときに僕を含む若手がどれぐらいの面積を引き受けられるか」と使命感をにじませる上岡さん。淡路島の産地を守り、次世代につないでいけるのか。新しい感性と旺盛なビジネスマインドを備える上岡さんのこれからの活躍が楽しみだ。

「今後はさらに作業受託を増やしていきたい。また耕作放棄地の受け入れなどで一大産地を守り続け、次世代につなげていけるよう頑張っていきいたいです」と語る上岡さん。
「今後はさらに作業受託を増やしていきたい。また耕作放棄地の受け入れなどで一大産地を守り続け、次世代につなげていけるよう頑張っていきいたいです」と語る上岡さん。

お客様使用製品・サービス情報

MG-1

狭小田・中山間地域でも「空から」防除。