丸橋祐介 engine

「セレッソ一筋でやってきた。どうしてもJリーグのタイトルを獲りたい」
アカデミー出身選手最年長、丸橋祐介が抱くクラブへの思い

セレッソ一筋でやってきた。
Jリーグのタイトルを獲れれば。

「小さいころから好きだったので、プロになってずっといられることがすごく嬉しいし、誇り」。U-15に加入したのは2003年。J2時代にトップチームに昇格し、J1・J2の昇降格も経験し、カップ戦でのクラブ初タイトルの場にも立ち会った。さまざまなことがあったが、「よりセレッソのことが好きという気持ちが増している」と語る。

今年で32歳、プロとして14年目。決して雄弁ではない。しかし、そこには深いクラブへの思いが溢れている。

取材日:2022年9月24日

PROFILE

丸橋祐介 YUSUKE MARUHASHI セレッソ大阪

1990年9月2日生まれ。大阪府出身。身長178cm体重73kg。大阪市ジュネッスFC→C大阪U-15→C大阪U-18を経て09年トップ昇格。J1リーグ戦の初出場は10年4月の第8節・名古屋戦。高い精度を誇る左足のキックと運動量を誇る左サイドバック。J1リーグ戦311試合出場18得点、J2リーグ戦79試合出場1得点。

セレクションに合格し、C大阪U-15に加入します。当時の印象は?
みんなうまかったですね。最初はついていくので精一杯でした。でも、うまい選手とやっていたら、自然と自分も上達していきます。みんなよりもっとうまくなりたいという気持ちもあったし、プロへの憧れも年々強くなっていきました。
最終的にトップ昇格したのは山口蛍選手と2人だけでした。
そうなんですよ。頑張ったなと思います、自分でも(笑)。
そこまで行けた要因は何だと考えていますか?
何ですかね? 同じポジションの選手には負けたくない気持ちもありましたし、自主練なんかも自分の中で工夫しながら努力はした…とは思います。(強みである)左足はほんま蹴り込みましたね。練習以外の時間でも蹴り込んだし、他の人よりはやったと思います。左足のキックはセレッソのアカデミーの誰にも負けていないという思いはありました。
武器を磨くことは大事ですね。
でも、今のアカデミーの選手たちは両足で蹴れるじゃないですか。僕らの年代はたまにいるぐらいで、みんな利き足だけを使っていました。今の子たちはすごい。めちゃくちゃうまい。今の時代やったら(自分は)プロになれてないかもしれません。風間さん(風間八宏アカデミー技術委員長)が来られて「止める・蹴る」がさらにうまくなっている。北野(颯太)も、(石渡)ネルソンも、もうみんなうまくてすごいです。
アカデミー時代の一番の思い出は?
一番はやっぱり高3の時、Jユースカップの決勝、ガンバ戦です(※)。先に2点取ったんですけど、逆転されて準優勝でした。2-0になって「コレ、いけるんちゃうか」っていう気の緩みが出てしまいました。めちゃくちゃ悔しい思いが残っています。
※2008年12月27日C大阪U-18 2-4 G大阪ユース
その決勝に出ていた選手たちは双方レベルが高かったですね。
中でも宇佐美(貴史)選手が強烈でした。クオリティーの高さに衝撃を受けました。(C大阪には)タカ(扇原貴宏)、リョウ(永井龍)、(杉本)健勇、ジュン(一森純)、夛田(凌輔)。プロになった選手が結構いましたね。
当時のアカデミーでは(柿谷)曜一朗がいましたが、彼はもう別格で、ユースではほとんど一緒に練習していません。すぐトップに上がっていきました。
あらためてC大阪アカデミーの良さは、どこだと思いますか?
いい意味で伸び伸びプレーさせてくれる環境やったと思います。同年代の仲間にも恵まれて、すごくいい時を過ごせました。もちろん走りの練習も多かったですけど、みんな走れていました。おもろい仲間も何人かおったんで、走りながらも笑かしてくれたり、声を出して盛り上げてくれたり、みたいな感じでした。

けがが治れば絶対に
今まで以上のプレーを見せたい

アカデミー出身選手の中でチーム最年長という自覚は持っている。「周りを見たら5歳以上離れている選手ばかりなので、ちゃんとせなアカン」と語る。今季は抱えてきた痛みを除くために、6月、手術に踏み切った。今は全治6カ月というプロ人生初ともいえる長期離脱の最中でもある。

アカデミーの後輩に何を見せたい、何を残したい、という思いがありますか?
僕の姿なんて、見せられるもんじゃないですよ(笑)。
いやいや、唯一無二ですよ。プロ2年目から出場機会をつかんで、ここまでJ1で300試合以上に出ています。今季は左膝骨軟骨損傷で手術をされましたが、それまではコンスタントに出場を重ねています。出続けるために工夫してきたことはありますか?
同じポジションの選手のいいところを盗むというか、真似はしていましたね。当時で言えば石神(直哉)さん、尾亦(弘友希)さん。右サイドですが、シャケさん(酒本憲幸)もそうです。シャケさんは攻撃的でプレースタイルが似ていたので、よくプレーを見て、できるプレーは練習から(真似を)していました。そうするとプレーの幅が広がってくるんです。今、出ている山中(亮輔)のプレーもそうです。
いいプレーを見て、自分ができそうなプレーを練習から試す。若い選手もそういうのをどんどんやっていったらいいんじゃないかなと思います。
現在はリハビリ中だと思いますが、回復具合はいかがですか?
順調にきていると思います。今年は多分出られないので、しっかり治して、また来年いいプレーを見せられれば。始動から戻れたらいいなと思います。(膝は去年ぐらいから)痛みを抱えながらやっていました。痛み止めを飲んだりしていたんですが、最後らへんはテーピングを巻いても痛み止めを飲んでもちょっと力が入らない、という感じだったので、手術を決断しました。
今季のチームは好調です。どう見ていますか?
強いですよね。90分を通してみんなが走り切れているし、交代で入ってくる選手もしっかり活躍する。終盤に勝利を決定付けるゴールも多いので、相手にとっては嫌なチームだと思います。(小菊昭雄監督のサッカーが)だいぶ浸透していると思いますね。僕は途中で離脱しましたけど、夏ぐらいからさらにやりたいサッカーができているし、負けないし、いいチームになっていると思います。
外から見て成長していると思う選手はいますか?
オックン(奥埜博亮)はずっと成長していますね。うまくなっているし、相手にとって嫌なところにいるんですよ。守備もうまいし、ファウルもうまくもらうし。走る量も多くてどこにでもおるから。それが年々増しているというか。今、オックンが抜けたらチームがガラっと変わるぐらい、キーになっていると思います。
丸橋選手と同ポジションでは今季、アカデミーの後輩・舩木翔選手が育成型期限付き移籍先のSC相模原から戻ってきて、出場機会を増やしていますね。
帰って来てメンタル的にも強くなっているし、試合に出て点も取っています。センターバックとしても出ているし、成長して帰ってきたと思いますね。
ピッチへの思いは増していますか?
外から見ていて、すごくいいサッカーをしているので、そこに自分も入ってできるのかな、っていう不安もあります。でも、けがが治れば絶対に今まで以上のプレーができるという思いもあるので、楽しみでもあります。
よりパワーアップした姿で復帰したい?
できれば。そのために今ちょっと頑張っています。パワーアップできていなかったら、ヤバいですね(笑)。最近ちょっと走り始めたので、負荷も上がってきたし、順調に来ていると思います。
復帰が楽しみです。あらためて、サッカー選手としてプレーする上での原動力を教えてください。
今までセレッソ一筋でやってきたので、やはり、(Jリーグの)タイトルを獲りたいです。その思いだけでやっています。あと、子どもにいい姿を見せたいっていう思いもあるので、その2つです。Jリーグを獲れれば最高ですね。自分も出て獲りたいです。さらに欲を言えばACLも獲りたいです。まだまだ引退できないですね(笑)。
CHAPTER #2

セレッソ大阪、アカデミーの力

未来への engine

「世界に通用する選手の育成」を掲げたセレッソ大阪アカデミー。
セレッソ大阪から世界へ。
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そんな未来への原動力に迫る。

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CHAPTER #1

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